連三捶を科学的に考察する

Posted by 大阪分会員 on 01.2015
Category : 中国武術
こんばんは。
大阪分会の梅津です。

今回は「連三捶」について書きたいと思います。

■ 連三捶に湧いた疑問

単式練習の中では、連三捶を好んで練習しています。
未だ未熟なれど、練習すればするほど、底の見えない深さを感じて、ついつい熱中してしまいます。

しかし、つい最近まで、打ち出す拳がどうしても肩の高さ、もしくはそれより低くなりがちで、悩みの種でした。

その度に、島村先生から、
「連三捶で打ち出す拳は、敵の顔、鼻の下辺り(人中)を狙うつもりで。」
と指導を頂きました。

個人的には、思っているよりもだいぶ上を突く印象で、力の入れ方がとても難しく感じましたし、同時に、少しの疑問を抱くようになりました。

「なぜ顔を突くのだろう?」

敵の弱点を突くという意味で、顔を突くのは理解できます。
しかし、弱点は顔以外にもたくさんあるし、敵を制圧するという意味では身体を突いても良いはずです。
実践ではそういう場面も可能性としてあるでしょう。

ならば、なぜ連三捶は「顔を突く型」になっているのでしょうか。
中段や下段を三回突くパターンもあってもよいのに「顔を三回突く型」だけを練習する合理的な理由が気になりました。

そんな中で、偶然書店で手にした「格闘技の科学(著:吉服康郎)」という本に、ひとつの答えを見つけました。

■ 科学からみた突き

著者の吉服博士は本の中でまず「運動量=質量×速度」という式を、丁寧に解説してくださいます。

ここでの質量は、手や前腕、上腕、肩等、身体の各部位の総重量です。
同じ拳でも、全身を使って打つほど質量は増して、運動量(物体の勢い)は増加します。

速度は、手や前腕、上腕、肩等を相手へぶつけていく時の速度です。
同じ拳でも、速ければ速いほど、運動量は増加します。

さらに、ここに「攻撃対象と接触する時間」が関わってきます。

拳と相手が接触する時間が短い程、最大衝撃力は大きくなります。
吉服博士が言う所の「鋭いパンチ」になります。

逆に接触する時間が長い程、最大衝撃力は小さくなります。
但し、接触時間が長いという事は、その間相手に衝撃を与え続けている事になりますので、運動量自体が小さくなるわけではありません。
博士が言う所の「重いパンチ」になります。

■ 中国武術の合理性

前段を踏まえたうえで「顔を狙った場合」と「身体を狙った場合」で、連三捶にどのような違いがあるかを考えます。
本の中に、合理的な答えのひとつを見つける事が出来ました。

“顔面(顔)のように軽い目標には、胴体の勢いが伝わりきらないうちに顔面が動いてしまうので、腕、特に拳と前腕が高速になるほど、衝撃力が増えます。しかし動きにくくしかもへこんで「衝撃力を吸収する」ボディに対しては、拳だけ高速にしても有効とはかぎりません。(格闘技の科学 第一章 打撃の科学 16ページより抜粋)”

考慮すべき点は「拳との接触時間」です。

顔面に打ち込んだ場合、顔は首に支えられているのみで動きやすい為に「拳との接触時間」がより小さくなり、最大衝撃力が大きくなります。また拳を素早く打ち出すという連三捶の技術自体が、衝撃力を上げる事に繋がります。

ボディに打ち込んだ場合、ボディは顔よりも柔らかくへこむ事で「拳との接触時間」が長くなり、最大衝撃力が小さくなります。
威力を出すには、押し出すような重いパンチにすればよいでしょうが、それだと「連三捶」である意味がありません。

連三捶が「素早く拳を繰り出す事」も「顔面(人中)を狙う事」も全ては必然であり、合理的なものだったのです。
中国武術の緻密に計算された合理性の片鱗を見たようで、感動します。

余談ですが、流星趕月や連五捶の一撃目が身体ごと突く事の科学的根拠もみえたようで嬉しくなりました。

答えだけ見れば当たり前のように見えますし、実践を積まれている方であれば経験として既にご存知の内容であるかと思います。

ですが、僕は恥ずかしながら浅学の為、こうした「なんとなくそんな気がする」や「先生が仰っていたから」という知識を、科学的かつ合理的な根拠に基づいて「確信」出来た事が、とても嬉しく、また練習の際の意識も少し変わったように感じています。

少しでも皆様の参考にして頂ければ幸いです。

(大阪分会・梅津尚孝)
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Comment

早々に書いて戴きありがとうございます!

連三捶は武術の基本中の基本の突き技だと
思います。

顔を突くのはあくまでも型なので
実際に当てる時には
当たるように変化させないといけません。


型通りの顔面だけではなく中段下段
開いているとこに振り分け連打する
それがほんとの使用法だと思います。

山東螳螂拳の大要DVDで先生が連五捶の用法
をされています。
まさに!あの始めの三打が連三捶だと
思いました。あの速さと勢いには
驚愕しましたし、開いてるとこに
バッバッバッっと!そしてとどめの
崩捶、鴛鴦脚。素晴らしいの一言です。
考えた人も凄い!
連三捶は単体で使うものではく
組合わせて活きてくる技だと思います。
ウメさんも色々組合せ考えてみて下さーい

螳螂拳は魅力満載の武術です
これからも皆で切磋琢磨、研究していきましょう!




2015.06.01 11:40 | URL | シマヤン #Alz34ffU [edit]
島村先生、コメントありがとうございます!
未熟な考察で、お恥ずかしいです。

ですが、思い切って書いてみて良かったと思います。
書く事で、きちんと頭を整理することが出来ました。

先生の仰る、実戦における変化、そして技と技の組合せを今からしっかりと意識して練習してまいります!
DVDの連五捶のイメージも大切にしたいと思います。

まだ素人に毛が生えた程度ですが、先生と皆さんのおかげ様で、毛ぐらいは生える事が出来ました。
益々、練習と研究に励んでまいりますので、御指導のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
2015.06.02 01:19 | URL | 梅津 #- [edit]
連三捶は僕も好きです。
一見単純な技かもしれませんが、非常に効果的な技だと思います。威力を重視し過ぎると連環性はおろそかになるし、逆もまた真なりですよね。
練習する時は、どちらかに偏ってしまい、両立させた突きを繰り出すのは難しいです…
だからこそ、毎回練習のやりがいを感じています。鍛練を重ね、より隙のない、素早く重たい突きを放てるようにしていきたいです。
練習会では、またミット打ちなどでお互いの練度を向上させていきましょう!
2015.06.02 23:34 | URL | ヒロ #- [edit]
ヒロ先輩、コメントありがとうございます。

先日の「戦術」の記事を読み返していて、思った事なのですが。
質量×速度=運動量、ならば、腕の質量が二倍なら衝撃力の差も二倍。
腕が細く、身体も小さい僕の場合、大柄な方より質量では負けるので、速度を上げていけるように練習すれば、より効果的な突きが出来るのではと思いました。

もっとも、島村先生も度々仰っていたように、理屈だけでなく実践でどう動けるか、どう戦えるか、を大切にしていきたいと思います。

あと、、、
このような記事を書いておいて何ですが、、、
理論ばかりの練習より、、、

「連三捶三〇〇回!始め!」
「お前!突きの角度が悪い!もう一〇〇回!」
「遅すぎる!もう一〇〇回!」

みたいな、男塾のような練習が、僕は好きです。

練習会でのミット打ち、何でしたら三〇〇回、ぜひ宜しくお願いします!
2015.06.03 12:33 | URL | 梅津 #- [edit]
うめさん、男塾のようなイメージは楽しそうですね!たまにはヘトヘトになるまでひたすら突き続ける、蹴り続ける練習もいいですね。己の限界を感じることも面白いと思います。

さてさて、運動量のことですが、武術をする上で重要な要素だと思います。しかし相手がサンドバッグでない限り、それ以外の要素もまた必要だと思います。力のベクトルについて、近々記事を書こうと思ってますが、おっしゃる通り理論だけでなく、体を動かしてなんぼですもんね!小柄な体型なのでスピードアップを重視というのは賛成です。でも質量や速度だけでなく、プラスαの部分も大切かと思います。前回の練習であった、排打功の積み重ね。それと呼吸、脱力…などにも意識するとよりいいのかなぁと個人的には思います。
でもやりましょうね、「連三捶300回」!また次回の練習を楽しみにしています。
2015.06.03 18:57 | URL | ヒロ #- [edit]
こんばんは。
書き込むのは初めてかもしれません。
よろしくお願いします。

自分も連三捶が好きです。そしてとても考えらさせられます。
連三捶、流星趕月、連五捶は打のエッセンスのような気がします。
これからも研究的記事に期待しています!
2015.06.05 23:43 | URL | さめ #JCx.acgc [edit]
コメントありがたいです。

また市川に行った時にはご指導

ヨロシクお願いいたします。
2015.06.06 09:36 | URL | シマヤン #Alz34ffU [edit]
>ヒロ先輩

力のベクトルの記事、楽しみにしております。

>さめ様
はじめまして。
こちらこそ、なにとぞ宜しくお願いいたします。
このような拙い記事にコメントをくださり、とても嬉しいです。
ありがとうございます。
さめ様が仰る「打のエッセンス」をしっかりと感じ取れるまで、益々練習に励みたいと思います!


>島村先生
前回の練習会で、型と実践の変化について詳しく御指導くださったので、未熟ながらも、今までよりは、良く理解する事ができました。
今になって記事を読み返すと、己の未熟ぶりをさらけ出しているようで、お恥ずかしいです。
型はしっかりと基本に忠実に、実践は頭を柔らかく、難しいですが、常に意識していきたいと思います。
次回の練習会も、なにとぞ宜しくお願いいたします。
2015.06.08 02:10 | URL | 梅津 #- [edit]

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